消火器は、マンションやビルの共用廊下で日々よく目にします。
でも、特別「消火器が立派な消防設備だ」という認識をお持ちの方は少ないかも知れません。
逆に、日常生活になじみすぎて、
「自分のマンションのどこに何本消火器が設置されているか、よくわからない…」
という方も多いことでしょう。
実際、消火器は消防法に定められている正式な消防設備です。
設置する種類や内容量、設置場所なども消防法などで定められた基準やルールをクリアしていなければなりません。
しかし、その基準やルールは意外にも複雑であるため、
- 消火器の消防設備点検って、どんな頻度でやればいいの?
- 消火器の点検って何を点検をしているの?
- 消火器の位置って勝手に動かしてもいいの?
などといった、様々な疑問をお持ちの方も多いことでしょう。
そこで、大阪の消防設備業者、株式会社BANDE(バンデ)のこのページをお読みいただくことで、消火器に関する基礎的な知識を身に着けることができます。
大切な人命を守る消防設備である消火器を適切に点検・維持管理し、建物に関わる皆様の安心・安全な生活をキープしていきましょう。
目次
消火器は適正な場所・条件で設置を
つまり延べ面積が12,000㎡のマンションを例にとるならば、
「12,000㎡(延べ面積)÷200(上記の基準面積)=60(能力単位)」
となり、少なくとも合計で60能力単位の消火器がマンション内に設置されなければなりません。
ちなみに、マンションなどでごく一般的に設置されている消火器は
「粉末10型消火器」
というタイプの消火器です。
粉末10型消火器の消火能力単位は、マンションなどの用途であれば、3として計算されます。
上記の例のように、50能力単位が必要なマンションであれば、
「60(必要能力単位)÷3(粉末10型消火器のマンションにおける能力単位)=20」
となり、20本の粉末10型消火器が必要になるということになります。
つまり、延べ面積が600㎡のマンションであれば、1本の粉末10型消火器だけで必要な能力単位を満たすことができます。
しかし、能力単位を満たすだけでは、消火器の設置基準を完全に満たしたということにはなりません。
消火器設置基準の基本②:「歩行距離20m」
消火器の設置基準には、能力単位をクリアするだけの消火器本数が必要です。
しかし、共用廊下などに消火器が1本あるだけでは、緊急時にうまく消火器を使用することができない場合もあります。
そのため、
「歩行距離20m(大型消火器の場合30m以下)」
ごとに消火器が設置されている状態にしなければなりません。
平面図上で考えて、最短距離で消火器間の距離を測れば、それは直線距離となります。
歩行距離とは
「実際に人間の足で歩いていくことのできるルートで測る距離」
です。
住戸内の廊下が曲がっていれば、廊下の形に沿って曲がらなければなりません。
もちろんドアがないところから部屋の外に出ることもできません。
つまり、マンションならば、
「住戸内の一番奥の部屋から歩いて、20m以内のところには消火器がある」
という状態で消火器が設置されることになります。
共用廊下に消火器がよく設置されているのは、この歩行距離の基準があるためです。
逆に、間取りがかなり広いとか、メゾネットタイプのマンションでは、
お部屋の中や玄関を出てすぐのアルコーブ内に消火器が設置されていることもあります。
最近消防署が査察に来られて、
「このマンションには各階に2本で、合計10本の消火器が必要です」
と指摘を受けました。
慌てて5本の消火器を追加したのですが、もともと消火器を設置しているところと同じ場所に1本ずつ増やす形で対応しました。
歩行距離20m以内という条件は何も言われませんでしたし、買ってきて設置すれば良いだけかと思っていたのですが、いろいろ難しいのですね…。
身近に専門的なわかることができる業者さんがいれば、もっと楽に解決できるとは思うのですが…。
※また、実際には能力単位や歩行距離の基準をクリアしていたとしても、消火器をいわゆる自主設置として増設しているマンションもあります。
法定で求められる消火器の設置基準は、あくまで最低限のものです。
緊急時にパニックに陥らないためにも、自主的に消火器を複数設置しておくことをおすすめします。
消火器設置基準の基本③:安全かつわかりやすく
さらに細かくいえば、消火器設置の際は、
- 防火対象物や防護する部分に近く、通行・避難に支障が出ない場所を選ぶ
- 消火器の存在を一目で判断し、すぐに手に取る事ができるよう、「消火器」の標識を見やすい位置につけて床面から1.5メートル以下の高さに配置する
という決まりも重要になります。